情報通信研究機構(NICT)TOPEnglish

reports

AI時代の安全を支える、サイバーセキュリティ研究の最前線
Interop Tokyo 2026出展レポート

開催日 :2026年6月10日(水)〜6月12日(金)
場所  :幕張メッセ
出展部署:サイバーセキュリティ研究室
     サイバー脅威分析室
     サイバーインフラ室
     サイバーセキュリティネクサス
     ナショナルサイバートレーニングセンター
     ナショナルサイバーオブザベーションセンター
     AIセキュリティ研究センター
     総合企画室
Interop Tokyoは日本最大規模のインターネットテクノロジーイベントで、毎年国内外から約500の企業・団体が参加し、技術動向とビジネス活用のトレンドを、会場でのデモンストレーションやセミナーを通じて紹介しています。今年も3日間にわたり開催され、総来場者は143,312人に上り、昨年以上の高い関心を集めていました(公式WEBサイトより)。

はじめに

Interop Tokyo 2026では、「AIとインターネットの次章」をテーマに、ネットワークインフラ、生成AI、IoT、セキュリティなど、多様な分野に関する展示や講演が行われました。NICTサイバーセキュリティ研究所は、サイバーセキュリティ分野の最新の研究開発成果や関連事業の取り組みを、動態展示やブース内講演などを通じて幅広く発信しました。

NICTブースの概要

サイバーセキュリティ研究室:観測・分析技術の最前線を紹介!

サイバーセキュリティ研究室はインシデント分析センター「NICTER」、対サイバー攻撃アラートシステム「DAEDALUS」、サイバー攻撃誘因基盤「STARDUST」を展示し、それぞれの成果が社会の中でどのように活用されているのか紹介しました。

NICTERは無差別型サイバー攻撃の大局的な動向を把握することを目的としたサイバー攻撃観測・分析システムです。その観測結果はNICTER観測レポートとして公開しており、得られた知見や観測結果はナショナルサイバーオブザベーションセンターが取り組む、IoT機器のセキュリティ対策向上を推進するプロジェクト「NOTICE」にも活用されています。DAEDALUSはNICTERの大規模ダークネット観測網を活用し、組織内ネットワークにおけるマルウェア感染などを迅速に検知して警告を発行するシステムで、企業への技術移転を通じて社会還元につなげています。また、STARDUSTは政府や企業等の組織を精巧に模擬したネットワークに攻撃者を誘い込むことによって、攻撃者の組織侵入後の挙動を観測可能にするサイバー攻撃誘引基盤で、サイバーセキュリティネクサス(以下、CYNEX)のCo-Nexus Aを介して研究機関等で利用いただいています。

来場者からは導入に関する問い合わせが複数寄せられ、特にDAEDALUSについてはNICTブース内の技術移転(社会展開)コーナーの企業へ案内する機会もあり、STARDUSTの利用に関する問い合わせについてはCYNEXの担当者へつなぐなど、研究成果の実利用に向けた具体的な接点が複数生まれました。

サイバーセキュリティネクサス:進化を続けるWarpDriveの体験コーナーを実施!

産官学の連携拠点となっているサイバーセキュリティネクサスでは、CYNEXの活動内容:4つのCo-Nexus(Co-Nexus A/S/E/C)の紹介をするとともに、Co-Nexus Cで提供している教育コンテンツのデモ展示を行いました。

Co-Nexus Cは、セキュリティ人材の育成に課題を抱える企業や教育機関の方々から関心が高く、教育コンテンツおよび教育基盤の利活用について具体的なご質問やお問い合わせを多くいただきました。

また、Co-Nexus A の活動の一つでもある、Web媒介型サイバー攻撃対策プロジェクト『WarpDrive』では、タチコマ・セキュリティ・エージェント体験コーナーも設置しました。本コーナーでは、ゲーム感覚でセキュリティやITに関する知識を学べる「訓練プログラム」への注目が高く、多くの来場者が楽しみながら自身の知識レベルに挑戦していました。

さらに、WarpDrive は2026年3月のアップデートにより、様々なWebサイトを閲覧することで、セキュリティ・エージェント(=タチコマ)が育ち、多彩に変化するという機能を追加しています。こうしたユーザー体験の向上の仕組みにより継続的に楽しみながら利用できるとともに、Web閲覧データの収集を通じた研究開発・観測・分析の強化につながる取り組みとして紹介しました。

今回の展示では、セキュリティ人材育成の新しいアプローチと、ユーザー参加型で進化していく研究のかたちを、実際に体験しながら理解していただく機会となりました。

ナショナルサイバートレーニングセンター:実践演習を通じた人材育成を紹介!

ナショナルサイバートレーニングセンター(以下、NCT)は、実践的サイバー防御演習「CYDER」、情報処理安全確保支援士向け実践講習 実践サイバー演習「RPCI」、25歳以下を対象としたセキュリティ人材育成プログラム「SecHack365」の3つの人材育成について取組を紹介しました。それぞれのプログラムでは、実際のサイバー攻撃を想定した演習や、手を動かしながら学べる実践的なカリキュラムを通じて、現場で活かせるスキルの習得を目指しています。

昨年に続き、ITパスポートや情報処理安全確保支援士など、来場者が保有するセキュリティ関連資格について尋ねるアンケートを実施しました。3日間を通じてアンケートボードには多くのシールが貼られ、自身のキャリア形成や日々の業務に生かすために知識を身につけようとする層が広がっていることが伺えました。

また、SecHack365では、修了生の作品展示コーナーも設け、プログラム紹介に加えて修了後の成果や活動までを一連の流れで紹介しました。これらの展示を通じて、セキュリティ人材の裾野拡大から高度人材の育成までを一貫して支えるNCTの取り組みを、来場者に体感していただける機会となりました。

ナショナルサイバーオブザベーションセンター:IoT機器のセキュリティ対策に関心集まる!

ナショナルサイバーオブザベーションセンター(以下、NCOC)では、IoT機器のセキュリティ対策向上を推進するプロジェクト「NOTICE」の紹介に加え、サイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器を特定するための特定アクセス調査に関する取り組みについて紹介しました。

家庭用ルーターや見守りカメラなどのIoT機器は来場者にとっても身近な存在であり、そうした機器がサイバー攻撃の対象となる可能性について説明を受け、多くの来場者が足を止め、熱心に耳を傾けていました。

今年度のNCOCブースには、昨年度の約2倍にあたる来場者が訪れ、3日間を通じて説明員が休む間もなく対応するほどの盛況ぶりとなりました。昨今のサイバー攻撃の増加や悪質化を背景に、来場者の関心も年々高まっており、説明に対して具体的な質問をされる方が多く見受けられました。また連携に関心を示す企業の来場もあり、NCOCの取り組みに対する期待の高さが伺えました。

AIセキュリティ研究センター:AIの安全性を評価する取り組みを紹介!

AIセキュリティ研究センター(以下、CREATE)は、Interop Tokyoには初出展となり、「AIの安全性評価」に関する取り組みを紹介しました。

CREATEが開発を進める評価基盤は、大規模言語モデル(LLM)に対して攻撃シナリオやベンチマークを用いた評価を行い、安全性や悪用リスクの把握を支援するものです。今回の展示では、来場者がその場でプロンプトを入力し、LLMの応答がどのように評価されるのかを体験できるデモを実施しました。Anthropicによるmythosの話題など、生成AIに対する関心が国内外で高まる中、CREATEの展示にも多くの来場者が足を止め、「どのように安全性を評価するのか」「実際の活用シーンはどのようなものか」といった質問が寄せられました。AIの"性能"だけでなく"安全性"に着目した取り組みである点に関心が集まり、評価手法や今後の展開について活発な意見交換が行われました。

NICTERスピンオフ技術の社会展開最新事例の紹介

NICTERスピンオフ技術の社会実装事例として、技術移転先3社が展示を行いました。対サイバー攻撃アラートシステム「DAEDALUS」を商用化したサービスとして株式会社クルウィットの「SiteVisor」を紹介したほか、サイバー攻撃統合分析プラットフォーム「NIRVANA改」を商用化したサービスとして、フューチャーセキュアウェイブ株式会社の「WADJET」と株式会社構造計画研究所の『CYNOTE』を紹介しました。

これらの展示では、NICTの研究開発成果として生まれた技術が企業によって実際のサービスとして展開されている事例として、多くの来場者の関心を集めました。具体的な導入事例や活用シーンについて質問する来場者も多く、研究成果が実社会でどのように活用されているのかを実感していただける機会となりました。

これらの展示を通じて、NICTの研究成果が民間企業との連携により社会実装へとつながっていることを示すとともに、その価値を来場者に具体的に実感していただく機会となりました。

リクルートコーナー:NICTで働く魅力と支援制度を紹介!

リクルートコーナーでは、総合企画室の職員が研究所の組織体制や各研究室・センターの取り組みを紹介するとともに、NICTでのキャリアパス、現在募集中の求人について説明しました。

社会人として既に働いている方に加え、大学院生や大学生など幅広い来場者が足を止め、研究所での働き方や将来のキャリア形成について熱心に質問する様子がみられました。

特に、博士号未取得での着任や在学中の方を対象とした支援制度(着任後の博士号取得にかかる費用を原則としてNICTが負担する制度)について紹介すると、研究者育成を支える仕組みとして関心を集めました。研究環境だけでなくキャリア形成を支える制度面についても理解を深めていただく機会となりました。

サイバーセキュリティ研究所の採用情報について興味のある方はコチラをご覧ください。

ブース講演

ブース講演を通じて各組織の最新動向を発信!

NICTブースでは、会期中、各日5回、各出展部署の講演者が登壇し、約20分のブース講演を実施しました。各講演には多くの来場者が集まり、講演が始まるたびにブース内は聴講者で賑わい、展示とあわせて講演にも高い関心が寄せられていました。中でも、サイバーセキュリティ研究所長の井上大介による「サイバーセキュリティ研究の最前線2026」では、ブースの外まで聴講者があふれるほどの盛況となり、当研究所の最新の取り組みに対する関心の高さが伺えました。

ブース講演を通じて、各組織の取り組みや研究内容をより体系的に紹介するとともに、来場者に理解を深めていただく機会となりました。

終わりに

NICTサイバーセキュリティ研究所のブースにお越しいただいた皆さま、ありがとうございました。各展示やブース講演では、多くの方に足を止めていただき、説明員への質問も数多く寄せられました。研究所の取り組みに関心を持っていただけたことを、大変嬉しく思います。サイバーセキュリティ研究所では、これからも展示会や講演などの機会を通じて、研究成果や最新の取り組みをわかりやすく発信していきます。今後のイベントでも、展示をご覧になって気になることがあれば、ぜひ気軽に説明員へお声がけください。

back to page top