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NICTサイバーセキュリティシンポジウム2024
「展 〜サイバーセキュリティNext Stage~」開催!

開催日:2024年2月16日(金)
場所:NICTイノベーションセンター(東京都中央区日本橋)
主催:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
   サイバーセキュリティ研究所
後援:総務省、サイバーセキュリティ戦略本部、
   電子情報通信学会 情報セキュリティ研究専門委員会、
   電子情報通信学会 情報通信システムセキュリティ研究専門委員会
サイバーセキュリティ研究所は、政府が定める「サイバーセキュリティ月間(2/1〜3/18)」に合わせ、サイバーセキュリティ技術に関する最新の動向や NICT の取り組みを広く一般の方々に発信する目的で、毎年この時期にNICTサイバーセキュリティシンポジウムを開催しています。
今年度は「展 ~サイバーセキュリティ Next Stage~」をテーマとし、新たなステージを目指すサイバーセキュリティ分野における研究開発のこれからの展開について、発表やパネルディスカッションを行いました。

研究・活動報告

NICTサイバーセキュリティ研究所の各部署より最新の研究および活動状況を報告

今回のサイバーセキュリティシンポジウム2024では、4つの講演と2つのパネルディスカッションを実施しました。それぞれその様子をご紹介します。

まず最初に、サイバーセキュリティネクサス 研究マネージャー 安田真悟より、「日本のサイバーセキュリティの結節点 “CYNEXアライアンス”- CYNEXアライアンスの発足と活動報告2024 -」と題して講演を行いました。

2021年4月の設立以降、日本のサイバーセキュリティ分野における産学官の結節点となることを目指して各種活動の準備を進めてきたサイバーセキュリティネクサスは、2023年10月、ついに国内の産学官の組織が参画する“CYNEXアライアンス”を発足しました。本アライアンスは、サイバーセキュリティ研究所での様々な研究成果や人材育成のノウハウを活用し、事業領域ごとに4つの"Co-Nexus"に分かれて活動を推進しており、講演では各Co-Nexusの概要はもちろんのこと、最新のトピックスとして、Web媒介型攻撃対策プロジェクト「WarpDrive」の大型アップデートやCYNEX解析チームが公開した「NICTER観測レポート2023」について報告をいたしました。

次に、サイバーセキュリティ研究所 ナショナルサイバーオブザーベーションセンター 研究センター長 衛藤将史より、「より安全な IoT 環境の実現に向けて- NOTICE 事業 5 年間の総括と今後の取り組み -」と題して講演を行いました。

NOTICEは当初、令和5年度末までの時限措置として規定されていましたが、NICT法の改正により令和6年度以降は、新しい NOTICE として事業範囲を拡大して継続されることとなりました。講演では新たなフェーズに入るNOTICE事業について、脆弱なパスワードが設定された機器の調査は継続し、さらにファームウェアの脆弱性を有する機器の調査などを行うことを発表しました。

続いてセキュリティ基盤研究室では、神戸大学 数理・データサイエンスセンター センター長 小澤誠一様をお招きし、「組織間連合学習AIによる社会課題へのチャレンジ:銀行不正送金検知の取組み」と題してご講演いただきました。かねてよりNICTと共同研究・実証実験を実施しているプライバシー保護連合学習技術「DeepProtect」を始め、社会課題の解決に真に貢献するAIを組織間連合学習により実現しようとする取り組みと今後のチャレンジについてご紹介いただきました。

また、セキュリティ基盤研究室 主任研究員 Le Trieu Phongからは、実用性を損なうことなくデータのプライバシーと機密性を保護できる機械学習システムを構築する方法として、主に暗号化と差分プライバシーを使ったシステムの紹介と適用可能性について「情報セキュリティと分散型 AI の融合: データのプライバシーとユーティリティの保護」と題しご紹介しました。

ナショナルサイバートレーニングセンターからは、若手人材育成事業「SecHack365」を題材に、SecHack365の修了生の桑原翼様(株式会社FFRIセキュリティ/写真中央)と、同じく修了生でセキュリティ芸人 アスースン・オンラインとしても活躍する麻生航平様(写真右)の2名をゲストに迎え、 「われわれのイチオシ成果物とその後について」というテーマでパネルディスカッションを行いました。
サイバーセキュリティ面での現在の社会的課題とそれらに関してどう切り込むか、若手目線からの意見を伺い、モデレーター 園田道夫(同センター センター長)の進行のもと活発な議論を行いました。

パネルディスカッション

研究・活動報告に続いて、今回のシンポジウムの目玉企画となるパネルディスカッションを実施しました。

セキュリティ業界で活躍する7名の女性たちが登場

テーマは「サイバーセキュリティ女性活躍とキャリアパス」。登壇したのはいずれも、サイバーセキュリティ業界で活躍する7名の女性たち。セキュリティ業界に携わるようになった経緯の紹介をはじめ、「セキュリティ人材の充足感について」「セキュリティ業界でどんな人を目指したいか?」などのテーマについてディスカッションを行いました。

冒頭では互いの名前を下の名前やニックネームで呼び合うなど、和やかな雰囲気でスタート。しかし、いざパネルディスカッションが始まると表情は一転。セキュリティ業界への想いを熱く語る姿が印象的でした。​

※登壇者は写真左から、モデレーターの佐久間萌里佳様(株式会社incri)、パネリストの中島明日香様(Elastic セキュリティリサーチエンジニア)、Yin Minn PaPa様(横浜国立大学 先端科学高等研究院 准教授)、篠田佳奈様(株式会社BLUE 代表取締役)、盛合志帆(NICT サイバーセキュリティ研究所長)、安部小百合(NICT サイバーセキュリティネクサス 研究技術員)、松田美慧(NICT サイバーセキュリティ研究室 研究員)

閉会

最後は、サイバーセキュリティ研究所 研究所長 盛合志帆による閉会挨拶にてサイバーセキュリティシンポジウム2024は幕を閉じました。2024年のシンポジウムは、NICTイノベーションセンター(東京日本橋)にて対面形式のみでの開催としましたが、当日は全国各地の行政機関、民間企業、大学を含む研究期間等から幅広くご参加いただき、会場にはほぼ空席がないほどの盛況となりました。

NICTサイバーセキュリティ研究所は、今後も研究成果の積極的な発信やサイバーセキュリティ技術の社会展開、人材育成を着実に進めていきます。

※所属・役職はイベント開催時点のものです。

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