DAY1
AIとサイバーセキュリティの融合をテーマに議論
DAY1(11月5日)はサイバーセキュリティ研究所 主管研究員の中尾康二(以下、中尾)が、共同議長として全体運営を担当しました。
開会の挨拶にはNICT理事長 徳田英幸をはじめ、慶應義塾大学 教授の村井純氏、在日フランス大使館 科学技術担当参事官
Xavier Bressaud氏、Inriaの国際連携の責任者Cécile Vigouroux氏、慶應義塾大学 常任理事の斎木敏治氏、横浜国立大学 副学長(研究・情報担当)の四方順司氏にご登壇いただきました。
DAY1は主に「AIとサイバーセキュリティの融合」をテーマに、基調講演と最新研究の発表が行われました。基調講演は、Inriaの
Yufei Han氏が「The Synergy Between AI technologies and Cyber Security Challenges: The Open Problems and Opportunities」という
タイトルで実施。さらに、AIセキュリティ研究センター(以下、CREATE) 研究センター長の高橋健志(以下、高橋)が「AIネイティブなサイバー社会に向けた取り組み」というタイトルで実施しました。
高橋は講演の中で、AIの悪用によって生じている新たな脅威について紹介し、CREATEのミッションはAI技術を保護し活用して、安全で信頼できるサイバー社会を構築することであると説明。安全なAIネイティブな未来に向け、海外の大学や研究機関とのコラボレーションが重要であることを強調しました。
その後、「AIによるサイバーセキュリティ強化」のテーマに関する複数の講演が行われ、InriaのYufei Han氏から「ボットネットトラフィック分類のための適応的・教師なし学習」に関してご講演いただき、同じくInriaのFranco Terranova氏から「強化学習エージェントによるサイバー攻撃経路予測の学習」に関してご講演いただきました。最後に「AIベースのベンチマークネットワーク侵入検知システム(NIDS)テストセットの評価と標的型データ拡張」と題して、東京大学 准教授の近藤大嗣氏からご講演をいただき、それぞれ熱心な
質疑応答が行われました。
DAY2
サイバーセキュリティをめぐる幅広いテーマを議論
DAY 2(11月6日)の基調講演では、芝浦工業大学 システム理工学部 准教授の持永大氏がインド太平洋地域における地政学とサイバー
セキュリティの関係に関する講演を実施。さらに、University of SavoieのKavé Salamatian氏がイランとロシアの事例を踏まえたデジタル主権に関する考察について講演を実施しました。
また、日仏の国際共同研究を支援・促進する制度を紹介するセッションでは、サイバーセキュリティ研究所 研究所長の井上大介が、JUNO3(Japan‑US Network Opportunity 3)やCRCNS(Collaborative Research in Computational Neuroscience)といったNICTにおける国際的な高度委託研究の事例を紹介しました。続いて、高橋がNICTERデータ解析等における国際的な協力・連携や海外の研究機関や
大学との人材交流、さらに今回の日仏サイバーセキュリティワークショップのような海外の研究機関や大学と連携したワークショップやイベントの共催など、サイバーセキュリティ研究所が進める国際連携の取り組みについて紹介しました。
午後のセッションでは、情報システムセキュリティおよび暗号技術に関する発表が行われました。情報システムセキュリティのセッションでは、ボットネット通信の時間的・地理的分析、DT活用の安全な自動車レースの実現、及びCPSのセキュリティ強化に向けた施策について講演があり、それぞれ質疑応答では活発な意見交換が行われました。
暗号技術のセッションでは、セキュリティ基盤研究室 主任研究員の青野良範が「NICTにおける暗号解析:実装から理論的洞察まで」というテーマで講演を実施。青野は、CRYPTREC暗号リストに掲載されている暗号方式のセキュリティ評価活動を中心に説明。研究方針として、特定の暗号方式に焦点を当てるのではなく、基盤となる計算問題の評価を重視していることを説明しました。さらに、実装や実験を通じて理論だけでは見えない課題を見つけ、その結果を安全性の評価に活かす取り組みについて解説しました。
DAY3
今後日仏間で継続する研究テーマについて議論。さらに個別意見交換も実施!
DAY 3(11月7日)は、現在進行中の日仏共同研究プロジェクトの紹介のほか、中尾とInriaのLudovic Mé氏による、今後のワークショップで注目すべき研究テーマの議論、協力体制の整理、及び今後のワークショップ開催についてのディスカッションが行われました。
その結果、AIに関連するセキュリティ研究、地政学的観点からのサイバーセキュリティ、サイバーセキュリティ技術の応用研究、PQC(特にISOGENY)に関連する暗号技術、サイバーセキュリティ倫理の研究等については、継続して情報交換、研究連携を日仏間で進めていくことになりました。
午後のセッションでは、サイバーセキュリティ研究における倫理的側面をテーマとして発表が行われました。そしてDAY3の最後には、
AI脅威分析及びサイバーセキュリティ研究の倫理的側面に関する、対面のみの個別意見交換が行われ、ワークショップは閉会しました。
終わりに
第9回目を迎える今回は、NICTほか日本側の参画機関がホストとなり運営支援を行いました。会場には各日平均して40名以上の方が参加され、3日間で延べ122名が参加されました。
3日間を通じて、各プレゼンテーションに対して質疑応答が行われ、その都度、非常に活発な意見交換が展開されました。休憩中も名刺交換やディスカッションをする様子が多く見られ、日仏連携推進の観点からも非常に有意義なワークショップとなりました。
次回(第10回)のWSは、2026年秋または2027年春にフランスで開催予定です。